「豊饒の海」が美しい

 

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11月11日13時から「豊饒の海」を観に紀伊國屋サザンシアターに行ってまいりました。

フライヤーを見て「行きたい」と決めました。原作は読んでいませんでしたが、気づいたら、幻のような無機質な美しさに魅了されていました。特に2幕からは考える隙も与えないぐらい加速していって、あっという間の2時間半でした!

 

以下、ひたすらステージについて語りまくる感想です!

 

ステージ

非常にシンプルでした。舞台の中央にある大きな板がステージになっています。ステージ上には何も置いてなくて、シーン毎に演者や小物が配置されて、場面場面が作成されていきます。時の流れを遮らないほど目紛しく華麗に動き回る黒子が小物を置いていく姿は圧巻でした。

このステージは上から水が落ちてくる仕掛けがあり、真ん中に穴が開いています。そんな穴でさえも、通常時は蓋で綺麗に閉じていて、シンプルな面持ちを貫くステージ。

また、滝のように流れ落ちる水は、照明でキラキラと宝石が落ちるように美しく、より一層異空間を解き放っていました。

シンプルな大きな板の上での物語は、奥行きがより立体的に見えました。寝っ転がる演者たちや、手前に奥に滑らせた小物の、距離感が絶妙に表現されています。

奥に行くと小さくなって少し上がって見えるが特に面白くて、お手紙のやり取りの見せ方も手前に奥に移動して主役を際立たせる手法が軽快で魅せられました。

あの見え方は、私の座席が20列あたりで傾斜があったからなのか、それとも大きな板自体に傾斜があったからなのか、よくわからないのですが、とても観やすかったです。後列でも配置が美しすぎて楽しい!!

 

黒子の動きがオシャレ

黒子には光が当たらないイメージがあったのですが、こちらの舞台では黒子も演出の一部としてご活躍されていました。

図示されているかのように変化するフォーメーションに時折うっとりします。

特に印象に残っているのが、幕間の後の動きです。スーッと一直線に並んで入ってきたと思ったら、突然円を描くように対角線上でゆっくり回り始めて、次の瞬間にシュッと指定の場所に物を置いて、颯爽と去って行ったのが印象的でした。あの黒子の動きは巧妙で引き込まれます。

黒子の動きまで「美しさ」が行き渡っている。

 

個人的に好きなのは、お花になる黒子が超美しい。お花を生けるように地面にそっと添える所作がすごい好きです。

レッドカーペット引く時に、スラッと現れて、転がしていく黒子さんかっこよかったなぁ。

ザザーザザーとさざ波を表現する場面は、黒子が舞台の主役になっていました。

 

短時間に収めるため

4部作の長編小説を舞台で表現するには、場面切り替えさえも大切な時間であり、なおかつ美しくなくてはならない。そんなことを舞台を通して感じました。

時間軸が交差していくのも面白かったです。複数の時間が同時に進んでいくので、非常にスピード感がありました。

 

好きなセット

すごい個人的な趣味になるのですが、カラフルな風鈴ぽいライトが天井から下がってきて、淡くて柔らかい色の灯籠が置かれていった場面はとても可愛らしくて心も踊りたくなりました。

余談ですが、ふわふわした雪が柔らかくて好きです。雪が演者の頭にふわっと乗ると、きゅん!とします!

 

老齢時代

突然演者のお話しをします。本多役を3人が演じていて、老齢時代(70代ぐらい?)の本多を演じるのは笈田ヨシさんで、養子にした上杉柊平くん演じる透に「なんて呼べばいいですか?」と聞かれた時に「お父さん」と答える場面にほっこりしました。

この時この場に一緒にいた友人を演じている神野三鈴さんの表情が、口をすぼめたり笑ったりしていて、台詞はないけど表情がすごい豊かで引き込まれました。

舞台の中では関係が荒れ狂うように唸ってしまうけれども、カテコではステージから降りる段差で、神野三鈴さんの手を引いて、舞台を降りる上杉柊平くんが見れて、本当はジェントルマンな姿が見れて大変嬉しかったです。

 

東出昌大座長

照明が当たると浮かび上がる絶対的な美しいお顔がすごかったです。スラリとした長身にそんな美しいお顔があって、台詞回しは堂々としているけど、何故か何を考えているのかわからないミステリアスな松枝になっていました。

3回目のカテコの一礼の後、座長が両手で丸を作って口にあてて待ってる…。(拍手が止むのを待ってたのかな?)おおお!!もしや何か一言頂けるのですか??

 

座長「ありがとうございました!

ステキな日曜の午後をお過ごしください!」

 

すっごい爽やかな風で見送られました。

 

観劇しているどの年代の方もガシッと掴んでいく座長が格好良くて、そんな座長を観られたことが私のステキな日曜の午後でした。

 

楽しかった…。