「ヘンリー五世」の兄弟になりたい

 

戦え、名誉のためにーーー

国と国との戦いに翻弄された

人間たちを描く群像劇

 

こちら、さい芸外観ポスター(夜)です。

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昼と夜どちらも撮ったのですが、夜のライトアップ版がとてもかっこいい…。

 

2月11日18時半・2月22日13時半から「ヘンリー五世」を観劇しに、さいたま芸術劇場に行ってまいりました。

さい芸も彩の国シェイクスピアシリーズも初めてでしたが、非常に楽しい3時間5分(第1幕80分/休憩15分/第2幕90分)を過ごせました。

序盤に説明役として出てきた鋼太郎さんが原作どおりに「私どもの力及ばぬところは、皆様のご想像で補ってください」と仰っていましたが、私が観た景色、汗や涙や唾や感じた熱量は、想像を越えた現実であり、むしろ私の想像力を補っていただき、ありがとうございました。

現代にも上演される演目になるのに、歴史上の人物や観客に敬意を払うようなプロローグを綴る偉大なるシェイクスピアはやはりすごい!

 

私のは謙遜でもなんでもないのですが、こんな頭の悪い文章で感想を書いてごめんなさいいいい!!とも思うのでした。

以下、ネタバレを含みます!

 

 

ヘンリー四世

前作でもある「ヘンリー四世」のハル王子(桃李くん)とフォルスタッフ(鋼太郎さん)の楽しいどんちゃん騒ぎの日々の映像が流れて、恐らく名シーンばかりを抜粋していることでしょう。ハル王子が王冠つけるところの表情がまた良い!><!

公式ツイッターでも「ヘンリー四世」のあらすじを可愛らしいイラスト付きで説明してくれて、公式が初見に優しい(号泣)

映像が終わると舞台上には、列を成して歩いてくるイングランドのお偉い人たち。その中央には凄まじい貫禄のある王(桃李くん)のお姿。王は目をかっぴらいて、お顔のパーツを何一つ無駄に動かさずに一点集中で論じられているのですが、その表情は冷酷そのものでした。

俵のような体型を身に付けドサドサと歩いて出てきた、かつての名コンビでもあるフォルスタッフが列の横で「ハルー!」と気さくにお名前を呼ぶのですが、1ミリも表情を崩さない王のお姿はまるで別人でありました。

 

コーラス役 吉田鋼太郎

次の場面ではスーツ姿で登場し、フォルスタッフのヅラと顎髭を舞台上で大胆にも剥ぎ捨てて魅せる鋼太郎さん。この舞台では(演出と)案内役を担い観客に魔法をかけてゆくように場面展開をされ、圧倒的な存在感を放っていました。

通路でお話しすることも多かったのですが、その時の姫!お嬢様…!みたいな観客との目の合わせ方が丁寧で執事のようでした。「ここは笑うところですが大丈夫ですか?」と観客の反応も見渡していましたね。私はその大迫力で硬直していました><もうね、固まってても許してほしいです。鋼太郎さん。笑

原作のプロローグでは「君主」と訳されていたので、姫と読み上げていた部分は鋼太郎さんオリジナルの読み替えなのかしら…ステキ!

 

ヘンリー五世 松坂桃李

下手からスタスタ歩いてきて、王座に座るときにマントを外側にパッと開いて、パッと自分の方に寄せて座るのですが、 まぁ!綺麗なマント捌き><!王座の肘掛に丸々ように縮まって、口元に手を当ててお国のことを考えておられる深妙な王はなんだか新鮮でした。

フランスの使者が持ってきた贈り物が金貨や宝ではなく『テニスボール』だとわかった瞬間には舐められたもんだ…とでもいうように嘲笑うような表情を浮かべ、椅子を直々に用意されて使者と向かい合わせに座らせて、どうぞ!とにっこり微笑んでるのに「『テニスボール』を『砲弾』に変える」と仰るところでは、今にも撃ち落とすような表情にパリッと変わる。使者を罵る姿には痺れました。

王に対し陰謀を企てていた3人衆のところでは「お前はそうだ」「お前はそうだ!」「お前はそうだ!!」とこうだった!ああだった!と罵る勢いがすごい。王の劔を地面に対し垂直に構え、上から突き刺す勢いで振りかざす…けど寸止めのところで手が止まり、苦しい表情で「お前のために涙を流そう」と言い放ち立ち上がる(シーンが大好きすぎてもう一度観たい…。)王を思い出しては、感情を一度全て爆発させて、その感情を涙に変えようとする王がすごい。(ここもう涙だか汗だか感情が溢れすぎててすごい。)

旧知の友の処刑を苦しくも命じた場面、高台からその処刑の全てを王は見届けます。そのときのポロっ。ツーーーーーっと頬を伝う涙が美しくも切なかったです。息を引き取った後には、お顔をぐっしゃぐしゃにして感情をあらわにして天を仰ぐ王。1幕のラストシーンに台詞はなく完全に表情だけで勝負してくる松坂桃李。ただただ雨音だけが切なく響き渡るのでした。(さて、このまま休憩に入るのでゆっくり暗転してゆくのですが、王がずっと上を向いて悲しんだままなので、どうなるのか観てたら、後ろからパパッとすごい勢いで手を引かれて去っていかれました…!!きっと物語の中の王はしばらく立ち竦んだままなのね…。)

2幕が始まってからの王が「寒いー><」と両手を肩にあててブルブル震えながら登場するのが毎度面白かったです。この後、王が一般兵のふりをしながらこっそり兵士のお話しを聞く場面や、フルエリンとの場面は、随分面白がっているようにみえて、楽しかったです。

「王も一人の人間である」との独白の場面、渦巻いた感情を並べながら歩き回っていました。細い白い光のライトが交差していて、王の頭の中のようでした。お顔にオレンジ色のライトがあたり、ドンと感情が爆発して、下を向いていたところは覚えていますが、完全に迫力に圧倒されました。飛んでます。(台詞と場面が一致しなくて完全に私を責めたいです。)

その後の演説では

今日私と共に血を流すものは、私の兄弟

と少ない人数で勝ちとって名誉を分け合おう!と仰る王の表情は大変晴れやかで、一回り大きく、そして頼もしくなったようにも感じました。

一般兵のふりをしているときに王を侮辱した兵士に対しては「私が王である!」と一見腹立たしく振る舞う王ですが、その兵士の根性を認め「受け取れ(取って置きな)」とお金を渡す時にはすっかり労うお顔に。すっかり成長されましたね。一緒に戦ったら、兄弟!

全般に渡り王らしくお話しを聞いている(話している人の息継ぎとか空間の時に、顔を傾けたり、頷いたりする)お姿が、ほんとらしくて尊い。可愛い。

言葉足らずで絶対伝わらないけれども、殺陣もすごい格好良かったです!!!!!!

 

キャサリン姫を口説くシーン

「麗しきキャサリン」「天使のようだ」そう言いながら口説くのですが、口説き始めの第一声がなかなか出なくて、お口をパクパクさせているのが可愛い。

手をすりすりすり合わせて、ぎこちなーく、それとなーく、言葉を並べている王がひたすらキュート!

「ステップは踏めないけど、脚力はある」と実際に手足を大きく使いながら表現する王は全力で可愛いですし、「フランス全土を治めるより大変だ!」と嘆き不器用ながらも率直な愛を伝える王。「フランスは僕のもので、あなたは僕のものになれば、フランスもあなたのもの!」と大きなジェスチャーを使い表現される王も可愛い。「私は良くなる一方なんだ!」となんの根拠もなく言い切る王は、むしろ可愛すぎて理解不能。これは私たちが見てきた王なのですか><あまりに可愛すぎる王><

この様々な王の力説に対してのキャサリン姫の回答が「ワタシワカリマセン!!」と言語がわからないとはぐらかしまくっていて、もー!姫も姫です><

 

そうそう。ここのシーンのライトがすごく綺麗で、上から観ると床に黄色と水色のスタンドグラスみたいなのが映し出されていてね。下から見上げたときは、オレンジとライトグリーンのライトが上からふわぁっと降りてきたようにも見えて、両国の色をふわぁっとしているようにも、見えてねぇ。(平和だねぇ。平和っていいなぁ…。)

 

キスシーン

最終的に姫の手の甲に王がキスするのですが「フランス文化的には結婚前にキスはしないのです><」と姫はパニックになるけど、このイングランド王めちゃくちゃリードがうまい。

このやり取りを最終的には甘い言葉たくさんかけてキスでふさいで、キスの後は顔の角度的に観客席側からは口元しか見えてないんですけどお口は緩んでいてチラッと歯が見えるぐらい微笑んでおられて「君の唇は魔力のようだ」と…。え?は?ちょい!ちょい!ちょい!ちょーい!ちょーいいいい!!!

 

「おいで」

最後にはフランス王にも婚姻を認めてもらい改めてハッピーエンドになって、キャサリン姫に「おいで」と手を差し出すハル王。

この『おいでポーズ』の指のバランスが大変お美しい。人差し指は綺麗に伸びてて、どの指も重ならずに中指と薬指と小指が曲がってて、計算し尽くされた美しさの中のベストオブ美しい『おいでポーズ』でした。

「おいで」をされているキャサリン姫がお立ちになられているのは下手側なのですが、意外と距離があるのとキャサリン姫が溜めに溜めてなかなか歩み出さないので、永遠に『おいでポーズ』が見られまして、ここ、すごい楽しいんです。

そして、二人の距離が近づくに連れて、キャサリン姫は嬉しそうににっこり笑顔になったり、ハル王は優しく目を伏せて頷いたり、なんという空中いちゃいちゃ。この二人に距離なんか関係ない!!

『おいでポーズ』の手の上に重なるキャサリン姫の手を、ハル王が優しそうに大切そうに見つめて(これを観るには下手側のお席がさいきょうううううう!!すぎて…。)そのキャサリン姫の手を両手で、もう、やさしーくやさしーく包み込んで、そのままキス。ハッピーエンドすぎて。王と姫って、こういうね…。絵になりすぎて、ため息が止まらない。女口説くのは大変だと言っているのに、キスが上手すぎる!本能なのですか陛下!!

ああ、これでおしまいです。

ほかにも色々書きたいのに物語が一度終わってしまった。どう戻そうか。

 

そうそう。

本日の稽古ではフランス王女キャサリンの演出をつける時、鋼太郎さんのお手本がとても可憐で可愛かったり〜(1月27日公式ツイートより)

こんな可愛くてキュートなキャサリン姫とハル王なのですが、お稽古で鋼太郎さんが可愛くて可憐なお手本を演じているとか、演出なので見本もされるとは思いますが、私もそれも観たいです。それこそ私の想像力で補えないんですけど特典DVDに入れてくれたりしないんですよね?><?

 

フランス皇太子 溝端淳平

もう一人触れたい人がいまして、フランス皇太子です。フランス皇太子はヘンリー五世からみると敵側にあたります。野心家でわくわくしている表情が印象的でした。

今更巻き戻しますが、テニスボール投げがすっごいすっごい楽しかったです!淳平さんの初登場がこのシーンなのですが、兵士を跪けて、テニスボールを至近距離で上から投げつけて、満足気に手をくいくいしてボールを要求するフランス皇太子。何度も!何度も!投げて!あー!これ!すごい!(あの至近距離でボールを取る兵士も兵士ですごい!!)

そして、動き始めるフランス皇太子ですが、階段に足をかけて、左膝の上に左肘を乗せ、右手は右腰にあてて、はいポーズ!心のシャッターをパシャッ!次は、右ひじを柱にあてて、左手を左腰にあてて、足をクロスして、はい!ポーズ!心のシャッターをパシャリ!このモデルボーイ、いちいちポーズが決まってて!まったく!隙がないんです!!(お写真を撮るシーンは一切ありませんが、動くたびにポーズが決まっていて格好良かったというお話しです。)

 

セット

幕間でいつの間にかセットだけポツンと置いてあるのですが、いや、ほんと、ポツンと置いてあって。これが暗転して、役者がセットの中に入って、ライトがあたると、マジックがかかったんじゃないかってぐらい瞬時にヘンリー五世の世界へ。シーンが戦中の夜でオフのフランス軍なんですけどマジでカッコいい!!!甲冑とか馬とか女のお話ししながら、刀を研いでいるんだよ!カッコいい!!フランス軍!皇太子は朝が待ち遠しいとな!!

想像じゃないんですよ。真似事でもお遊戯でもないんですよ。完全にヘンリー五世の世界に入れました!!

と感動しました。第2幕始まりに。

 

カテコ

松坂さんのお辞儀は深く深く深ーいもので、足首を掴む勢いで両手も下げて、観に来てくれた方々に感謝の意を込めて深々とお辞儀されていました。羨ましい柔軟性です。

 

暗闇の中から、白い衣装で目立っている松坂さんが走ってくるのが大変楽しかったです。

拍手喝采の中ありがとうございました!とお辞儀をしながら去ってゆき、舞台も暗転して真っ暗なはずなのに、どうも…舞台の奥で消えない白い影…!王のステキな白い衣装がぼんやり白い物体となって見えるのです!まだみなさん、舞台上にいらっしゃる!そして!どんどん大きくなってきて、爽やかに走ってくるとぅーり先輩!いっけめーーん!!!!

座長一人で走ってきて後からみんなが駆けつけてくるパターンも、みんなで駆けつけてくるパターンも、どのパターンも座長がドセンターでに駆けつけてくれて…たったのしい…。センター番号の座席を引いた人たちは、もう、私の元に松坂さんが走ってくる…!と勘違いするぐらい、楽しいいいい!(センターでも観劇してたらしい。)

 

鋼太郎さんに手を掴まれて、拳を挙げさせられる座長。

座長のえがおが可愛いです。賞取った時みたいに可愛いえがおでした。ありがとうございましたー!

 

舞台が終わるのは35分だと言われてるけど、カテコで感謝を伝え合ってにやにやしてると最寄りの駅に到着するのは、その25分後でした…!幸せに浸ってたら、時間が過ぎるのって本当に早いものね。

22日は4回目のカテコは座長が下手から出てくるバージョンになっていましたね。そして、時間通りに終わりました!

 

ネギ

まず最初に言っておきますが、私はネギが大好きです。

職場で昼食の後にネギのフレグランスを撒き散らしている同僚がいまして、そのフレグランスは…おっ!という感じで、その同僚と今回の素晴らしいヘンリー五世を並べて思い出すなんて苦行になるわぁ…と本物のネギだとわかった瞬間に意を決しました。

バリバリボリボリネギを食べている演者を前にしたのですが、なんと、ネギのフレグランスがしなかったんです。センターに座っていた時も、二階の見切れ席に座ってた時も、もしくはいつものごとくシャットアウトしていたのか。きっと、私が日頃感じてるネギフレグランスの方が強烈だよ…?笑

そういえば、ネギを食べた後に、しっかり水で流し込んでましたね!生のネギを食べた後にチューするのはどうなの?><?ネギなの?><?ネギの味なのですか??><

 

演奏

贅沢をいうならば楽器の見える席に座りたかった…。なんと心残りなのだろうか。耳ではたくさん聴いたんだ!!!楽器の振動もたくさん感じていたんだ!!!ただ、私は、観たかったんだ…。

 

あとがき(22日)

さい芸には資料館がありまして、あの資料館が本当に最高で最強なので、埼玉に訪れる際には9時から18時までずーーーーっと浸りたい場所でございます。えぇ、もちろん、ヘンリー四世を閲覧して参りました。あの沈黙の資料館の中で「あの…見せてください」と言えれば、もう、怖いものないです。ささっと準備していただけるので、全然恥ずかしくなんかないです!!!!パンフレットも貸してもらえるんですよ!!!!すごーい!!!

資料館の前にはペペロネというレストランがあって、観劇おたくにはマッハで料理が出てきて最速最強でご馳走さま!限定のやつのお食事も食べたかった…。公式で触れられていましたが、デザートはテニスボールかよ!…舐められたもんだな!このやろー!と超絶ニヤけたいヘンリー五世ごっこしたかった…。笑

観劇おたくに優しすぎる劇場、それが埼玉県立彩の国さいたま芸術劇場でした。

 

24日で埼玉公演は千秋楽を迎えますが、22日の時点で鋼太郎さんも桃李くんも声がかすれてきていましたね。埼玉千秋楽後には、桃李くんのツイッタに満足そうな表情のお写真があがっていてよかったです。(気づいたら終わってました。おつかれさま!)

 

なんで、こんなに、オフのお写真可愛いの><

卒業シーズンなのでハル王の第二ボタンください><

地方公演も頑張ってください!!!!

 

また、ヘンリー四世のお話し

ハル王子か洋服を脱ぎ捨てて走ってくる名シーンだけでも見れたら…!と思って見てたら、なんだかフォルスタッフの手つきがセクシーでした。時間もなく1部も見終わらなかったです。ちょっとこの不完全燃焼どこで燃焼しましょうか。

 

おわり